北京知的財産裁判所の特許訴訟件数が増加し、技術調査官が審判を助ける

産業市場で競争力を有する幾つかの国において、米国とドイツに比べて、中国の特許訴訟手続きは簡単且つ高効率であり(平均六ヶ月未満である)、訴訟費用も低く(訴訟の合理的な費用は約50~100万元である)、且つ誰が主張すると誰が証明する方式で証拠を提出し(ドイツと同じである)、米国の証明よりずっと簡単であるので、近年、北京知的財産裁判所の特許訴訟件数が増加している。しかし、特許訴訟の技術範囲は広く多様であるので審査過程で技術障害を克服することを必要として、これは長い間審判品質を影響する問題となる。従って裁判官を助けて技術問題を正確に理解するために、北京知的財産裁判所は調査官制度を確立し、調査官は企業や事業機関、大学、科学研究機関、国家知的財産局、特許代理人協会などから来る。なお、専門化人民陪審員、技術調査官、専門家アシスタント、司法認定機関が共同に参与する「四方一体」の技術事実調査機関を設立して、裁判官を助けて案件を審理する。

西電捷通無線ネットワーク通信株式会社(以下、IWNcommと略称)が特許権侵害でソニーモバイルコミュニケーションズ(中国)株式会社(以下、Sony中国と略称)を訴える案件において、技術調査官は事実の特定に重要な役割を果たした。IWNcommはWAPI標準の積極的な推進者であり、WAPI分野で多い特許をレイアウトした。2009年からIWNcommは訴訟関連標準必須特許についてSony中国との特許ライセンスの合意を試みたが、Sony中国はライセンス交渉の継続を拒否した。だから、IWNcommは2015年にSony中国によって生産・販売される製品が自分の特許を侵害すると北京知財裁判所に提訴し、侵害行為の差止めを求めると共に経済賠償金を請求した。財裁官は、特許侵害の構成要素は訴訟関連特許が標準必須特許であるかどうかによって変更されないこと、現在の中国における法的枠組みの下で純粋的な使用方法特許は権利完全消耗問題が存在しないことなどの判決要点*に基づいて、2017年3月22日にSony中国がIWNcommのWAPIに係る標準必須特許を侵害したと認定し、侵害行為の差止めを命じ、賠償金額は910万であると一審判決を下した。

北京知的財産裁判所の公式サイトの紹介によると、上述した案件のような新しいタイプの特許紛争案件数の増加は、特許案件裁判の傾向の1つであり、今まで通信、医療、チップなどのいろいろな分野の特許案件を受け入れた。2017年2月28日までもう3693件の特許案件を受け入れて、総案件数の16.8%を占め、中国市場が大きいをことを示し、多い特許訴訟利点に基づいて、中国で特許訴訟を提訴する企業がますます多くなり、未来、米国とドイツだけではなく、中国も特許訴訟の主要な戦場になる。

*判決要点に関する全文は参考資料3を参照してください。
参考資料:
1.北京知的財産裁判所:特許侵害平均賠償金額は138万元に達する
http://www.ccpit.org/Contents/Channel_3586/2017/0328/779705/content_779705.htm
2.一審判決でSony中国は携帯電話製品の特許侵害を宣告され、損害賠償金は910万である
http://cn.technode.com/post/2017-03-22/sony-4/
3.西電捷通が特許侵害でソニー中国を訴える紛争の判決書
http://www.ciplawyer.hk/article.asp?articleid=21507
4.【中国本土における特許無効訴訟実務発展と台湾商人の対策】セミナー

執筆:プロジェクト スペシャリスト 廖宜湉