Huan / PIIP 台北所-商標部 レポート
経済と貿易の発展と国家全体の利益を鑑み、台湾政府は積極的に「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership , 以下 CPTPP)への加入を目指している。数日前、台湾の經濟部智慧財產局(日本の特許庁に相当)はCPTPPを念頭に置いた商標法改正草案を作成。行政院での審議、承認も済み、近いうちに立法院に送られ審議される予定である。
今後、改正案が可決され成立すれば、商標権の侵害に対しより強い抑止力を持つようになり、商標権利人及び消費者の利益保護、国際参加、区域経済、貿易競争力に対しても効力を発揮する。
今回の商標法改正の要点は以下の通り:
(一)現行の商標法に基づき模倣品ラベルの民事責任を問う場合、当該者が商標法の侵害を「知りえていたか」という主観的条件が必須となっていたが、これを削除。一般的な民事損害賠償責任の条件である「故意」または「過失」に戻す。(改正草案第68条)
(二)商標または団体商標ラベル模倣などの刑罰規定を增訂。商標ラベルや包装等の模倣品の輸入準備及び補助行為が罰せられるようになり、権利者の商品の売り上げや利益の向上,商標保護を強化する。(改正草案第95条)
(三)正義に対する社会的期待に応えるべく、認証ラベルの偽造、あるいは権利を侵害する商品の販売者や、他人に販売する意図を持つ人物に対し刑事責任を問うため,当該者が「知りえていたか」という主観的要件を削除。刑罰の要件である「故意」に戻すことで、間接的に商標侵害を引き起こすことが予想される行為を含める。(改正草案第96条および第97条)
日々変化する貿易の動向を通し、台湾の法規制が時代に対応し、権利者が十分に保護されるよう、政府は現行法の調整及び修正を日々行っている。もし台湾との貿易や台湾での商業活動を検討しているならば、最も完全な商標保護を享受し、他人に自身の利益を侵害されることを防ぐべく、できるだけ早い商標登録の取得を勧める。